住宅地でよく目にする総入れ歯の看板が、あと数年したら町から消えるかもしれない。看板の主、「tukang gigi(トゥカン・ギギ)」と呼ばれる「歯の職人」は、歯科医よりも低料金で歯の治療を行っている。
政府が彼らの営業を公認したのは、歯科医がまだ少なかった40年以上前。だが89年以降は許可を新規発行せず、延長も当人が65歳になるまでしか認めてこなかった。そのため職人の数は年々減るはずだった。だが実際は、病院よりずっと安い費用で済む職人は庶民に重宝されている。若者の間に広まっている歯の矯正ブームも手伝って、人気が衰える様子はない。
ここに政府の「メス」が入った。新規定を発布して、4月以降は彼らの認可延長を停止した。全国に7万5,000人いるという職人が、生活の糧を失う事態に直面している。(麻)
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