入れ歯やブリッジに代わる歯の治療法として、インプラント治療が普及しつつある。一番知りたいのは、どんな歯科医師にかかれば安心できるかだろう。後悔しないためにも歯科医師の選び方のポイントを知っておきたい。
インプラントは歯がなくなった部分のあごの骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を固定する治療法=イラスト参照。
例えば、上の前歯が1本欠けたとしよう。従来のブリッジ治療だと両側の健康な歯を削って、3本つながったかぶせ物の歯を入れる。公的医療保険が利くメリットはあるが、健康な歯を削って、あとで2次的な虫歯になったり、神経まで取らなければならなかったりするケースもあり、長い目でみると耐用性は低い。これに対し、インプラントは欠けた部分に1本の人工歯を埋め込むだけで済む。高齢者によく見られる取り外し式の入れ歯よりも違和感が少なく、かみ応えがあり、長持ちする。
ただ、インプラントは公的医療保険が利かず、高額な治療費がかかる。高度な技術がいるため、医師によって出来、不出来の差があるのが悩みの種だ。治療をめぐるトラブルも少なくない。
国民生活センターの調べによると、インプラント治療に関して、「痛い」「かめない」などの危害が生じた相談件数は2006年から今年11月末までに560件あった。こうした状況から、同センターは11年12月、医師に対し「治療の内容やリスクを十分に説明するよう」注意を促した。
治療費別に相談件数をみると、歯の本数や症状によって異なるものの、総額で50万〜500万円が半分以上だった。
現在、1本あたりの治療費は約10万〜100万円と医療機関によって大きく異なるが、相場はいくらなのか。渡辺文彦・日本歯科大新潟生命歯学部主任教授は「患者の症状や検査の中身によって異なるが、一般的には1本あたり約35万〜40万円が目安になる」と話し、特殊な治療を除き、極端に安い、もしくは高い場合には注意が必要だ。
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